1.原料の安定確保
木材パルプの原料となる木材は、その約7割を海外からの輸入に頼っています。一方、古紙は、ほぼ全てを国内での回収により調達しています。国内で使用されるパルプ全体における古紙の割合は約6割ですから、原料の安定供給に古紙がいかに貢献しているかが分かります。なお、古紙の回収率は8割程度です。これは、使用された紙の中で、汚れたり回収できなかったりしてリサイクルに回せないものが発生するためです。また、8割程度の回収率と言っても、その全てが国内で使用されるわけではありません。再生紙の性能に合わせて古紙パルプ配合率が設計されるため、使用されずに残る約2割の古紙は、海外に輸出されています。これにより、国内のみならず国際的な安定供給にも貢献しています。
※新型コロナウイルス感染症の影響により令和2年2月ころに発生した店頭におけるトイレットペーパーの不足には、多くの方がご不安になったものと思います。この原因は、輸出入の停止によりトイレットペーパーの原料も不足するという誤った情報によるものです。確かに一時の急激な需要の高まりにより、店頭から姿を消す事態が発生しましたが、上記のように原料の多くを国内の古紙であるトイレットペーパーについて、こうした心配はありません。ただし、地震や豪雨などの大規模災害により、物流が停止してしまうと、回復までの間は入手が困難となります。食料や水などと同じように、生活必需品としてトイレットペーパーもご家庭の状況に合わせた適度の備蓄をお願いいたします。
2.資源の有効利用
古紙のリサイクルは、用途によりますが、一度だけでなく数度行うことが可能です。資源の有効利用は、世界で目指しているSDGsにも合致した理念です。
また、トイレットペーパーやティッシュペーパー、タオルペーパーなどは、使用したものをリサイクルすることができません。だからこそ、これらを購入するときに、再生紙を選ぶことは重要なのです。各メーカーは日々研究を重ね、古紙を使いつつも品質の良い製品を作るよう、頑張っています。
「古紙を使っているから硬そう」、「古紙が混ざっていると汚れが着いていそう」、「………」、そんなイメージを持っているのなら、心配いりません。一度お店で手に取ってみてください。
3.森林資源の持続可能な利用
古紙をリサイクルするということは、その分木材の使用量を抑えられるということになります。これによって、森林の保全に役立ちます。製紙業界では、木を伐採した土地への植林と古紙のリサイクルの両方を取り入れることで、現在の森林面積を保つよう努力しています。これからも森林を維持するためにも、古紙のリサイクルをお願いいたします。
4.廃棄物減量化
古紙を廃棄物としないことで、廃棄物の量は大きく抑えられます。これは、焼却炉の延命など、行政コストの削減にもつながります。限られた行政の予算を有効に利用するためにも、古紙のリサイクルという皆さんのひと手間が大切です。
もちろん、古紙を焼却してしまえば二酸化炭素を増やすことにもなります。環境の悪化を少しでも食い止めるため、リサイクルに回しましょう。